2.経済性管理

2.1 事業企画

事業企画とは,事業のアイディアや案件を具体化するために,事業計画を策定する業 務である。まず,事業の収支を予測し,事業として成り立つかどうかを判断するフィー ジビリティスタディが行われ,事業の実施決定後,事業の活動計画を前もって策定する 事業計画が立案される。後者は,工場などでは生産計画,建設現場などでは施工計画も しくは工事計画と呼ばれる。事業企画では,キャッシュフローを考慮するファイナンス の視点や,公共施設等の建設・管理を民間の資金・能力を活用して行う PFI などの概 念も重要である。

生産の4M(Man,Machine,Material,Method)

人,機械,材料,手法の適切な設計.これとのギャップで今後の方針も定まる.
人:スキルの向上と適切な配置
機械:機械設備の適切な配置
材料:価格・予備在庫・納期など
手法:効率化・マニュアルによる品質確保・リスクの低減

事業投資計画

事業投資評価

割引率

NPV(正味現在価値)

DCF法

回収期間法

内部収益率法

事業評価(政策評価)

費用効果分析

アウトカム指標

アウトプット指標

インプット指標

ライフサイクルマネジメント

リスク評価

PDCAサイクル

投資回収計画

環境評価

事業継続計画(BCP)

信頼性設計

保全性設計

コンカレントエンジニアリング

デザインレビュー

デザインイン

フロントローディング

フィージビリティスタディ

市場調査

需要予測

PFI(Private Finance Initiative)

施工計画

工事計画

仮設計画

工程計画

工事総合工程表

予算計画

安全衛生計画

工法計画

2.2 品質の管理

広義の品質管理は,品質方針と品質目標を設定し,それを達成するためのマネジメン ト活動である。この活動には,品質目標を達成するため計画を立案する品質計画,品質 要求事項を満たすために実践する狭義の品質管理,品質要求事項が満たされる信頼感を 供する品質保証,品質の不良をなくすための品質改善,製造物責任を果たすための品質 保証の目標である製品安全などが含まれる。また,品質管理によって,高品質を実現す ることも求められている。

品質

要求品質

設計品質

製造品質

品質管理(広義)

品質方針

品質目標

品質計画

品質管理

QCストーリー

QC7つ道具

新QC7つ道具

QMマトリックス

品質保全

品質保証

ISO 9000シリーズ

顧客満足(CS)

ビフォアサービス

アフターサービス

サービス品質

製造物責任(PL)

消費者保護

コンシューマリズム

消費生活用製品安全法

トレーサビリティー

品質改善

品質管理の統計的手法

管理限界

工程能力指数(Cp,Cpk)

不適合品率/適合品率

全数検査/抜取検査

品質特性

品質標準

HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)

製品安全

2.3 工程管理

工程管理は,事業計画に従った生産・施工を実現し,所定の品質・コスト・納期を遵 守するために生産・施工活動を統制する管理技術である。工程管理には,手順計画,負 荷計画,日程計画などの生産・施工活動の計画を行うものと,作業手配,実績管理など の生産・施工活動を統制するものが含まれる。

需要予測

移動平均法

指数平滑法

手順計画

工程計画

作業計画

作業標準

標準時間

負荷計画

リードタイム

稼働率

生産性

負荷平準(山積み・山くずし)

日程計画

作業手配

ディスパッチング

ガントチャート

プロジェクトマネジメント

PMBOK

PERT

クリティカルパス

CPM

納期管理

2.4 現場の管理と改善

現場において生産・施行活動を行ううえで,その活動を統制するのが進行管理である。 具体的には,各活動の実行状況を把握し,計画と比較することによって問題点を発見し, 対策を実施する。また,これらの計画や管理を効率的に行う方式として,サプライチェ ーンマネジメントなどが広く用いられている。

進行管理

作業手配

進度管理

余力管理

現品管理

生産統制

可視化(目で見る管理)

3ム(ムリ・ムラ・ムダ)

5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)

改善活動

動作経済の原則

生産活動指標(KPI)

PQCDSME(生産性,品質,コスト,納期,安全性,意欲,環境)

JIT生産方式

かんばん方式

プッシュ型生産方式

プル型生産方式

サプライチェーンマネジメント(SCM)

制約条件の理論(TOC)

2.5 原価管理

原価管理は,原価低減という目標を通して,経営活動や管理活動の効率化と経営業績 の向上を図るものである。原価管理では,仕様を決定する際に目標原価を設定する原価 企画と,標準原価計算,活動基準原価計算などの組織活動で消費される経営資源の消費 額を計算する原価計算とが行われる。また,経済的に有利な方策を比較評価し選択する ための理論体系である経済性工学も重要な概念である。

製造原価(=製品原価)

製造直接費

製造間接費

減価償却費

残存価値

原価企画

目標原価(=許容原価)

原価計算

総合原価計算

個別原価計算

標準原価計算

活動基準原価計算(ABC)

アクティビティ

コストドライバー

原価差異分析

原価維持

原価改善

経済性工学(EE)

価値工学(VE)・価値分析(VA)

機会損失

限界利益率

損益分岐点

優劣分岐点

環境会計

マテリアルフローコスト会計

2.6 財務会計

財務会計は,組織における活動の各段階において,経営成績や財務状況を外部の利 害関係者に対して報告するためのものである。通常,一定期間に対して,貸借対照表 と損益計算書を含む財務諸表が作成され,開示される。

財務諸表

貸借対照表(B/S)

損益計算書(P/L)

キャッシュフロー計算書(C/F)

営業キャッシュフロー

投資キャッシュフロー

財務キャッシュフロー

フリーキャッシュフロー

企業会計原則

原価償却

2.7 設備管理

設備管理は,設備導入までの調査研究,設計,製作,設置の段階における設備計画と, 設備導入後の運転,保全,廃棄,更新の各段階における設備保全による,設備のライフ サイクルの管理である。設備計画では,初期投資,取替投資,維持・保全投資などが, 設備保全では,予防保全,事後保全,改良保全,保全予防などが行われる。

設備管理

設備の管理特性

設備の信頼性

設備の保全性

設備の経済性

設備計画

初期投資

使用計画期間

取替費用

設備維持費用

寿命特性曲線(バスタブカーブ)

設備保全

劣化防止

劣化測定

劣化回復

自主保全

予防保全

定期保全

予知保全

事後保全

改良保全

保全予防

2.8 計画・管理の数理的手法

生産・施工活動の計画・管理に役立てるために,実際の問題の主要な部分を取り出し たモデルに対してさまざまな数理的手法を用いた解析が行われている。よく用いられる 手法として,ある制約の下で目的関数を最適化する数理計画法,不確定要素を含む問題 に対してコンピュータを用いて模擬的に振る舞いを再現するシミュレーションなどが ある。また,問題解決の科学的手法として,ブレインストーミング法などがある。

オペレーションズ・リサーチ(OR)

シミュレーション

離散型シミュレーション

連続型シミュレーション

数理計画法(最適化手法)

線形計画法

整数計画法

多目的最適化

パレート最適

ゲーム理論

階層化分析(階層化意思決定法:AHP)

ブレインストーミング法

デルファイ法

特性要因図

過程決定計画図

3.人的資源管理

3.1 人の行動と組織

人的資源を有効に活用し最大限の能力を発揮させるためには,人の管理やそのための 組織について考える必要がある。人の特徴を単純化して捉える行動モデル,職能別組織・ 事業部制組織といった組織形態,価値観・信念・行動規範などによって作られる組織文 化やリーダーシップ論などを対象とする。

組織開発

診断型組織開発

対話型組織開発

コンテント

プロセス

動機付け

インセンティブ

外発的動機付け

内発的動機付け

組織文化

組織構造

職能別組織

事業部制組織

マトリクス組織

フラット組織

ネットワーク組織

ピラミッド組織

ティール組織

達成型組織

人の行動モデル

マクレガーのX理論とY理論

マズローの欲求5段階説

ハーズバーグの二要因理論

アッシュ研究

リーダーシップ

PM理論

マネジアル・グリッド論

SL理論

サーバントリーダーシップ

フォロワーシップ

メイヨ-のホーソン実験

テイラーの科学的管理法

3.2 労働関係法と労務管理

従業員の安全と健康を守るためには労働関係法と労務管理に関連する様々な制度を 理解する必要がある。労働者及び労働者と使用者との関係に関して定めた法律,フレッ クスタイム制度やみなし労働時間制度といった労働時間管理,賃金コストを適正に維持 しつつ必要な従業員を確保するための賃金管理,労働条件を決めるためのルールを扱う 労使関係管理,従業員に対するメンタルヘルスケアなどを対象とする。

労働関係法

労働基準法

法定労働時間

労使協定

年次有給休暇

労働契約

就業規則

災害補償

三六協定

労働組合法

団結権

団体交渉権

団体行動権

労働組合

不当労働行為

労働協約

労働委員会

労働関係調整法

争議行動

あっせん・調停・仲裁

男女雇用機会均等法

男女共同参画社会基本法

障害者雇用促進法

出入国管理及び難民認定法

労働契約法

高齢者雇用安定法

労働安全衛生法

パートタイム労働法

育児・介護休業法

最低賃金法

労働者派遣法

個別労働紛争解決促進法

労働審判法

労働施策総合推進法

女性活躍推進法

賃金管理

総額賃金管理

個別賃金管理

職務給

職能給

年俸制

年功賃金

成果主義賃金

業績連動型賞与制度

同一労働同一賃金

退職給付

労働生産性

労働分配率

働き方改革

ワークライフバランス

フレックスタイム制

変形労働時間制度

裁量労働制

在宅勤務

テレワーク

社内SNS

RPA

SOHO

職場復帰支援

健康経営

職業性ストレス

ストレスチェック制度

メンタルヘルスケア

雇用制度

高度プロフェッショナル制度

再雇用制度

無期転換ルール

福利厚生

保険制度

年金制度

ハラスメント

LGBT

人材流動化

就労状況・労働統計

ポジティブアクション

くるみん認定

えるぼし認定

3.3 人材活用計画

組織において人は重要な経営資源であり,それをいかに計画的に活用していくかは組 織を維持していくうえで重要課題である。組織が必要とする職務を決定する職務分析, それにもとづいて行われる雇用管理,作業能率に大きく関わる人間関係管理などを対象 とする。

人間関係管理

公式組織

非公式組織

人事管理

雇用管理

職能資格制度

役割等級制度

複線型人事制度

勤務地限定社員制度

専門職制度

社内公募制

再雇用制度

継続雇用制度

自己申告制度

ジョブ型(職務主義)

メンバーシップ型(属人主義)

総合職・一般職

職務分析

職務設計

採用計画

セカンドキャリア

デュアルキャリア

役職定年制

ダイバーシティ・マネジメント

タレントマネジメント

インターンシップ

3.4 人材開発

将来において必要とされる知識や技能を保有するために,計画された学習を通して組 織構成員や組織内部の集団等を変革するプロセスが人的資源開発である。教育・訓練・ 学習によって組織変革を促進するプロセス,教育訓練計画・教育訓練体系・教育訓練手 法といった教育訓練管理,従業員を評価する人事考課管理,品質向上を目的としたQC サークル活動などを対象とする。

人事考課管理

情意考課

成績考課

能力考課

役割等級制度

多面評価(360度評価)

目標管理制度(MBO)

加点主義

減点主義

評価基準

バイアス

評価誤差(ハロー効果等)

人的資源開発(HRD)

階層別研修

専門別研修

課題別研修

自己啓発

eラーニング

OJT

OFF-JT

課題設定能力

職務遂行能力

対人能力

問題解決能力

コンピテンシー

教育訓練技法

ロールプレイング

ブレインストーミング

イメージトレーニング

ケーススタディ

ビジネスゲーム

人材アセスメント

スキル標準

CPD

ジョブローテーション

QCサークル

メンター

外国人研修・技能実習制度

キャリアパス

4.情報管理

4.1 情報分析

人や組織が活動していくためには,様々な情報を活用していく必要がある。しかし昨 今では情報量は飛躍的に増大しており,それらを活用するためには適切な分析を行う必 要がある。ここでは基礎的な情報分析技法,ナレッジマネジメント,マーケティング分

析を主たる対象とする。さらに,巨大な電子データを扱うための統計分析やビッグデー

タ分析の技術も扱う。

情報分析技法 アンケート分析 情報検索 情報推薦(レコメンド)

ナレッジマネジメント 形式知 暗黙知 集合知 データマイニング データウェアハウス 知識共有化(ナレッジシェア)

マーケティング分析 SWOT分析 バリューチェーン分析 3C分析 4P分析 PPM分析

統計分析 記述統計 線形回帰と最小二乗法 重回帰 相関分析 推定・検定

ビッグデータ分析 データ収集 データクレンジング 機械学習 データマイニング ロジスティック回帰 クラスター分析 情報可視化(ビジュアライゼーション) デザイン指向

18

4.2 コミュニケーションと合意形成

複数の人同士や組織の内外においては,常にコミュニケーションが要求される。その ため,コミュニケーションの方法やアカウンタビリティ(説明責任)はその基本となる。 また,基礎的なコミュニケーション論やコミュニケーション技法を知る必要もあり,最 近ではデジタル・コミュニケーション・ツールやコミュニケーション・マネジメントの 手法も重要性が増している。緊急時には,また別の観点からの情報管理が必要となる。

コミュニケーションの方法

情報公開法

知る権利

開示基準

パブリック・リレーションズ(PR)

住民参加

ネット炎上

アカウンタビリティ(説明責任)

情報開示

開示請求

社会的受容(PA)

ステークホルダー

統合報告書

コミュニケーション論

言語/非言語コミュニケーション

マス・コミュニケーション

パーソナル・コミュニケーション

コミュニケーション技法

ファシリテーション技法

コーチング技法

カウンセリング技法

ネゴシエーション(交渉)技法

合意形成技法

デジタル・コミュニケーション・ツール

ファイル共有

グループウェア

テレビ会議

ビジネスチャット

コミュニケーション・マネジメント

コミュニケーション計画

会議設計

コミュニケーション・コントロール

緊急時の情報管理

緊急時情報システム・サービス

緊急速報サービス

安否確認サービス

被害予測システム

緊急時情報収集・共有システム

緊急時の情報処理

緊急事態早期発見法

緊急時情報選別・評価(救出優先順位,支援優先順位等)

限定情報での意思決定

危機広報

4.3 知的財産権と情報の保護と活用

社会全体で知的財産権を保護することは,技術の発展に欠くことはできない要素であ る。知的財産権の種類,知的財産権戦略(創造・保護・活用等)に関する全般的な内容 を対象とする。また,機密情報や個人情報の保護と適正利用,独占禁止法も対象とする。

知的財産権(知的財産基本法)

産業財産権

特許権(特許法)

実用新案権(実用新案法)

意匠権(意匠法)

商標権(商標法)

著作権(著作権法)

先使用権制度

国際出願制度

情報の保護

特定機密保護法

不正競争防止法

肖像権・パブリシティ権・プライバシー権

個人情報保護法

個人情報

匿名加工情報

個人情報の保護措置

オプトイン/オプトアウト

個人情報の活用・流通

個人情報の漏えい時対応

独占禁止法

私的独占

不当な取引制限

不公正な取引方法

下請法

独占禁止法とコンプライアンス

入札談合

知的財産戦略

知的財産の創造

知的財産の保護

知的財産の活用

標準化戦略

デジュール標準

フォーラム標準

デファクト標準

ライセンス(技術実施許諾)

4.4 情報通信技術動向

現在の様々な業務遂行において,情報通信技術(ICT)の活用は不可欠である。情報 システム実現方法の動向とシステム評価手法(RASIS),インターネットは基本的な構 成要素である。また,情報システム活用方法の動向,今後のデジタル変革をもたらす技 術も対象とする。

情報システム実現方法の動向

集中化と分散化

WEBサービス

クラウドコンピューティング

システム評価指標(RASIS)

信頼性(Reliability)

MTBF(平均故障間隔)

MTTR(平均修復時間)

可用性(Availability)

稼働率

保守性(Serviceability)

保全性(Integrity)

安全性(Security)

インターネット

サーバとルータ

通信回線(専用線,VPN,携帯電話網,無線アクセスポイント)

公衆無線LAN

電子商取引(EC)

SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)

情報システム活用方法の動向

ERP(統合基幹業務システム)

財務会計・管理会計システム

人事システム

販売管理システム

顧客管理(CRM)システム

営業支援(SFA)システム

生産管理システム

サプライチェーンマネジメント(SCM)システム

企業内ポータル・イントラネット

ビジネスインテリジェンス(BI)

デジタル変革の技術

人工知能(AI)

機械翻訳

音声対話

画像認識

IoT(Internet of Things)

仮想現実(VR)・拡張現実(AR)

ブロックチェーン・仮想通貨

4.5 情報セキュリティ

人や組織における情報セキュリティの確保は基礎要件となってきている。情報セキュ リティポリシー,情報セキュリティ上の脅威と対策技術を対象とする。また,情報セキ ュリティの認証制度も対象とする。

情報セキュリティの要素

機密性

完全性

可用性

真正性

責任追跡性

信頼性

否認防止

情報セキュリティポリシー

情報セキュリティの脅威

情報漏洩・改ざん・消失

システム停止・性能低下

不正アクセス

オペレーションミス(メール誤送信,端末紛失等)

マルウェア(ウイルス,ワーム,スパイウェア,ランサムウェア等)

DoS・DDoS

標的型攻撃

フィッシング詐欺・ファーミング詐欺

ワンクリック請求

ソーシャルエンジニアリング

脆弱性(セキュリティホール)

情報セキュリティ対策技術

ウイルス対策ソフト

パスワード強化

アクセス制御・アクセス権限設定

アクセスログ分析

脅威攻撃の手口学習

ファイアウォール・侵入検知

暗号化・デジタル署名

VPN

DMZ認証技術

生体認証

認証デバイス

多要素認証

情報セキュリティの認証制度

情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)

ISO/IEC 27001

ISO/IEC 15408

プライバシーマーク

5.安全管理

5.1 安全の概念

従来の安全管理では,労働安全衛生に関する取り組みや,火災や爆発などの個別被害 形態毎に未然防止対策を検討することが中心であった。しかし近年は,細分化した安全 対策を実施するのではなく,組織全体のマネジメントの問題として取り組むことが必要 である。また,近年のシステムへのIoTの導入により,システムに影響を与える技術の 幅も広がり,多様な課題への対応が要求されている。本項では,安全の概念や安全に関 わる制度・システムを対象とする。

安全

安全マネジメント

安全マネジメントシステム

安全管理

安全管理システム

安全目標

安全経営

安全投資

公衆安全

消費者安全

利用者安全

安全文化

安心

安全法規

消防法

危険物 第1類から第6類

高圧ガス保安法

機械の包括的安全に関する指針

消費生活用製品安全法

製造物責任法(PL法)

Safety2.0

オールハザードアプローチ

5.2 リスクマネジメント

リスクマネジメントは,組織やプロジェクトに潜在するリスクを把握し,そのリスク に対して使用可能なリソースを用いて効果的な対処法を検討及び実施するための技術 体系である。リスクマネジメントのプロセスの中核は,リスク特定,リスク分析,評価 と対応であるが,リスクの概念やリスクマネジメントの仕組みは,時代や分野によって 変化してきている。

多様な分野のリスクマネジメントを包括するものとして,2009年に ISO 31000 が発行され,2018年に改訂版が発行されている(JIS Q 31000 2019)。ISO 31000では,リスクの影響は好ましいものも好ましくないものも含まれるとしており,経 営,品質,環境,安全等の多くの分野を横断して活用されている。

一方,安全分野においてリスクマネジメントを適用する際は,好ましくない影響のみ を対象として,重大な被害を受けないための従来のリスクマネジメント手法を活用する 場合が多い。本節では安全分野のリスクマネジメントに関するキーワードを整理してい るが,一部,一般的なリスクマネジメントの場合に主として用いられるものも含めてお り,それらにはキーワードの後ろに[一般]と記した。

リスク

リスクマネジメント

リスク管理

リスク図

リスク源[一般]

ハザード(潜在的危険要因)

起こりやすさ(発生確率,頻度)

リスクマネジメント計画

影響

被害形態

被害規模

リスク基準

リスクマネジメントシステム

リスクマネジメント方針

リスクアセスメント

リスク特定

リスク分析

リスク評価

リスク総合評価[一般]

シナリオ分析

弱点分析

対策効果算定

リスクマトリクス

リスク対応

リスク対応方針

リスク保有

リスク低減

リスク回避

リスク源の除去

リスク共有

リスク増加・機会追求[一般]

起こりやすさの変更[一般]

結果の変更[一般]

モニタリング

変更管理

リスクコミュニケーション

社会的受容(PA)

リスク認知

リスク認知のバイアス

正常性バイアス

楽観主義バイアス

カタストロフィーバイアス

ベテランバイアス

バージンバイアス

一貫性バイアス

マネジメントレビュー

継続的改善

記録の維持管理

ALARPの原則

残留リスク

リスクの最適化(トータルリスクミニマム)

プロセスセーフティマネジメント(PSM)

行動科学セーフティマネジメント(BBS)

RBM(リスクベースメンテナンス)

RBI(リスクベース検査)

5.3 労働安全衛生管理

労働安全衛生管理は,組織の運営に伴う災害の根絶を目的とし,職場内の設備,環境, 作業方法などを整備し,職場で働く人達の生命や心身の健康を維持するための管理であ り,合理的かつ組織的に行われる組織運営活動上の施策である。組織がその構成員の心 身の健康を維持するために,業務上または構内などで発生する災害を防止することや, 発生した災害に対しての適切な処置・対策を理解することが重要である。

組織員の保全やモラルの維持高揚に関する対応,心身の健康増進等を対象とする。

労働安全衛生管理

労働安全衛生管理システム

労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)

労働安全衛生法

労働災害

災害統計

度数率,強度率,年千人率

災害コスト

職業病

メンタルヘルス

安全衛生方針

安全衛生教育

安全衛生管理体制

安全衛生委員会

総括安全衛生管理者

安全管理者

衛生管理者

産業医

安全監査

安全配慮義務

5.4 事故・災害の未然防止対応活動・技術

安全管理では,労働安全衛生活動に加えて火災・爆発等の事故や地震等の災害に対応 することも重要であり,マネジメントの視点と現場における日常的な活動の視点で考え

ることが重要である。 事故や災害に結び付く可能性のある事項の抽出,改善策の策定と実施法を対象とする。

労働災害防止計画

自主保安 未然防止活動 定期点検活動

小集団活動(ZD運動,改善提案活動,TPM,TQC等) 予防保全 事後保全 ヒヤリハット

ハインリッヒの法則

本質的安全設計 本質安全化 安全防護

システムの高信頼化 安全計装システム 非常停止装置 フォールトアボイダンス フォールトトレランス フェールソフト フールプルーフ フェールセーフ インターロック(安全装置・安全機構)

安全確認型システム/危険検出型システム 隔離安全/停止安全 安全立証 LOPA

サイバーセキュリティ 安全衛生パトロール 危険予知

KYT(危険予知訓練) 始業前点検 作業マニュアル TBM(ツールボックスミーティング)

テクニカルスキル/ノンテクニカルスキル

28

ヒューマンファクター

ヒューマンエラー

不安全状態/不安全行動

事故の4M要因分析(Man,Machine,Media,Management)

事故の4E対策(Engineering,Education,Enforcement,Example)

5S活動(整理,整頓,清掃,清潔,躾)

5.5 危機管理

危機管理では,危機(crisis)に対する対策のとり方に共通性を見出し,それを体系 化し理解することが重要である。

危機管理の対象,危機管理の考え方や手法,危機管理の体系化を対象とする。

危機管理

危機

緊急事態

自然災害(暴風,豪雨,豪雪,洪水,高潮,地震,津波,噴火等による被害)

極端化現象

防災気象情報

警戒レベル

レベル2地震動

危険物施設防災

原子力防災

コンビナート・化学・石油プラント防災

テロリズム

ICS(Incident Command System)

安全教育

訓練

事故対応訓練

防災訓練計画

ブラインド訓練

不測事態

危機管理マニュアル

危機管理体制

危機広報

優先順位

タイムライン

レジリエンス

国民保護法

災害対策基本法

国土強靭化基本計画

事業継続マネジメント(BCM)/事業継続計画(BCP)

5.6 システム安全工学手法

システム安全工学手法(故障解析手法,危険シナリオ分析手法とも呼ばれる。)では, リスクの発生過程を調べるために,どのような危険発生源がシステムに存在し,それが どのように事故や災害に進展するかを理解することが重要である。

手法,ヒューマンファクターに対する分析手法やシステム信頼度解析等を対象とする。

システム安全工学手法

FMEA

HAZOP

HAZID

デシジョンツリー分析

フォールトツリー分析(FTA)

頂上事象

最小カットセット

共通要因故障

イベントツリー分析(ETA)

初期事象

防護機能

PHA(Preliminary Hazard Analysis)

ヒューマンエラー分析(人的過誤分析)

人的過誤確率(HEP)

トライポッド理論

THERP

行動形成要因(PSF)

MORT

J-HPES

VTA

システム信頼度解析

信頼性ブロック図

直列システム

並列システム

人間工学原則の遵守

制御システム

故障モード

根本原因分析

冗長安全

深層防護

6.社会環境管理

6.1 地球的規模の環境問題

人間活動の発展に伴い,地球を構成する大気,水,土壌,生態系に重大な変化が生じ, 人間の生存基盤に対する脅威となっている。中でも,地球的規模の環境問題については, 国連などの国際組織が中心となってその対応に取り組んでいるが,我が国もその一員と して先導的な役割を果たすことが期待されている。環境面において,組織活動の社会シ ステムとの関わり方の重要性はますます増大しており,組織としては環境問題の実態を 理解し,その対応策に取り組むことが社会的責任として重要であるだけでなく,組織と しての今後の継続,発展,組織価値の増大のために必要不可欠な要素となっている。地 球的規模の環境問題としては,気候変動,エネルギー問題,生物多様性,その他オゾン 層破壊などが対象となる。

持続可能な開発

国連人間環境会議

ローマクラブ

環境と開発に関する世界委員会(WCED)

国連環境開発会議(地球サミット:UNCED)

環境と開発に関するリオ宣言

アジェンダ21

エコロジカル・フットプリント

人間開発指数(HDI)

ミレニアム開発目標(MDGs)

持続可能な開発目標(SDGs)

オゾン層保護

ウィーン条約・モントリオール議定書

酸性雨

海洋プラスチック問題

気候変動・エネルギー問題

温室効果ガス(GHG)

エルニーニョ現象/ラニーニャ現象

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)

気候変動枠組条約

京都議定書

パリ協定

脱炭素社会・低炭素社会

2050年長期戦略

地球温暖化対策推進法

気候変動適応法及び緩和策・適応策

排出量取引制度

カーボン・フットプリント

エネルギー政策基本法

エネルギー基本計画

3E+S

再生可能エネルギー

再生可能エネルギー特別措置法

固定価格買取制度

再生可能エネルギー賦課金

省エネ法

トップランナー制度

建築物省エネ法

エコまち法

コンパクトシティ

コージェネレーション

ESCO事業

スマートグリッド

生物多様性

生物多様性基本法

生物多様性条約

生物多様性国家戦略

ミレニアム生態系評価

生態系サービス

SATOYAMAイニシアティブ

名古屋議定書

レッドリスト

ラムサール条約

ワシントン条約

バイオセーフティ

カルタヘナ議定書

自然環境保全法

自然公園法

自然再生推進法

鳥獣保護管理法

自然共生圏

特定外来生物

6.2 地域環境問題

有限な地球上において地球の恩恵を享受して発展し続けていくためには,持続可能な 開発の理念に基づき,資源の大量消費・大量廃棄型社会から循環型社会に転換していく ことが必要である。環境問題には地球的規模の問題だけでなく,足元の地域的環境問題 まで様々な問題がある。組織としては,これら地域的環境問題についても積極的な対応 を取ることが求められている。地域的環境問題としては,廃棄物管理や大気汚染,水質 汚濁,土壌汚染等の典型七公害のほか,ヒートアイランド問題や放射性物質による環境 問題などが対象となる。

循環型社会の形成と廃棄物処理

循環型社会形成推進基本法

循環型社会形成推進基本計画

3R

都市鉱山

資源有効利用促進法

容器包装リサイクル法

家電リサイクル法

小型家電リサイクル法

自動車リサイクル法

建設リサイクル法

食品リサイクル法

グリーン購入法

廃棄物処理法

マニフェスト制度

特別管理廃棄物

災害廃棄物

PCB特別措置法

バーゼル条約

E-waste問題

公害

四大公害病

公害対策基本法

典型7公害

大気汚染防止法

自動車NOx・PM法

光化学オキシダント

揮発性有機化合物(VOC)

微小粒子状物質(PM2.5)

水質汚濁防止法

土壌汚染対策法

原位置浄化

バイオレメディエーション

感覚公害(騒音,振動,悪臭)

アスベスト問題

化学物質と環境リスク

ダイオキシン類対策特別措置法

化審法

化管法/PRTR法

SDS

POPs条約

水俣条約

REACH規制

異常気象と防災

ヒートアイランド現象

都市型水害

液状化現象

ハザードマップ

警戒レベル

特別警報

放射性物質による環境問題

原子力災害対策特別措置法

放射性物質汚染対処特別措置法

除染特別地域

汚染状況重点調査地域

放射性廃棄物

中間貯蔵施設

クリアランスレベル

6.3 環境保全の基本原則

環境保全に関する制度やルールは,多くの場合,対策実施主体に関する汚染者負担原 則,拡大生産者責任等,対策の実施時期に関する未然汚染防止原則,予防原則等の基本 原則に依拠している。また環境保全の取組を推進し,環境政策の目標を達成するために は,従来からの規制的手法に加え,経済的手法,情報的手法,手続き的手法,自主取組 的手法等の各種政策手段を適切に組み合せることが必要である。環境アセスメント,ラ イフサイクル・アセスメント,戦略的環境アセスメントなどもこれらの中に位置づけら れる。

環境基本法

環境基本計画

地域循環共生圏

環境基準

汚染者負担原則(PPP)

拡大生産者責任(ERP)

未然防止原則

予防原則

源流対策原則

協働原則

パートナーシップ

エンドオブパイプ型対策

規制的手法

排出規制

総量規制

経済的手法

環境税

課徴金

デポジット制度

情報的手法

環境ラベル

手続き的手法

環境影響評価法

スクリーニング

スコーピング

戦略的環境アセスメント

ライフサイクル・アセスメント

環境教育

持続可能な開発のための教育(ESD)

6.4 組織の社会的責任と環境管理活動

企業等の組織は,自然資源の恩恵を受け,一方何らかの環境負荷を及ぼし活動を行っ ている。企業等も社会を構成する一員であり,持続可能な社会の実現に向けて自らの社 会的責任を果たすべきとのCSRの考え方が定着してきている。さらに営利,非営利組織 にかかわらずすべての組織においてもこのような考え方(SR)が広まっている。また, 企業等が,その経営の中で自主的に環境保全に関する取組を進めるために,環境に関す る方針や目標を自ら設定し,これらの達成に向けて取り組んでいく「環境管理」又は「環 境マネジメント」や,このための工場や事業所内の体制・手続き等の仕組みである「環 境マネジメントシステム」(EMS)が重視されてきている。外部報告活動としての環境 報告書や,外部報告と内部管理の両面において効率的な経営を実現するためのツールと しての環境会計なども対象とする。

公害防止管理者

社会的責任(SR)

CSR(組織の社会的責任)

社会的責任投資(SRI)

ESG投資

グローバル・コンパクト

ISO 14000シリーズ

環境マネジメントシステム(EMS)

PDCAサイクル

エコアクション21

ISO 26000

トリプルボトムライン

環境適合設計

環境会計

環境コミュニケーション

環境報告書